ここ数年IoT(アイオーティ)という言葉をよく耳にすると思います。
ここでは、IoTとは何か?IoTによってどういうことが便利になるのかということを
どこよりも分かりやすく説明したいと思います。
IoTとは?
まずはこの言葉から説明しましょう。
IoTとは Internet of Things の略で、そのまま日本語直訳すれば、”モノのインターネット”ということになります。その言葉自体分かりにくいですね。
”モノの”と強調しているくらいですから、元々のインターネットは何が繋がっていたでしょうか?インターネット自体、一般にこの言葉が使われるようになった、耳にするようになったのは1995年くらいからだと思います。
そのころは、インターネットにつなぐものと言ったら、パソコン=パーソナルコンピューターだったのです。その後、1999年からiモードとかが出てきて、携帯電話でも、パソコンに比べると情報量、表示量は少なかったですが、インターネット接続ができるようになりました。
そして2008年くらいからはiPhoneを代表とするスマートフォンで、今までの携帯電話とくらべるとずっとパソコンにちかい情報量、表示量の”コンテンツ”を見れるようになり、操作も楽にできるようになったというのがインターネットの歴史でした。
すなわち、2000年代までは、インターネットにつながるものといったら、パソコンやスマートフォンなどのいわば情報端末だったのです。
それに対して、IoTで言われるThings、Tは、情報端末だけでなく、あらゆるモノが含まれるというのが大きなポイントです。一般の生活の中でいえば、様々な家電機器、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、照明器具などがインターネットにつながるというのがIoTになります。
実はこういう一般家庭だけなく、ビジネス用においては、工場の様々な機械、農業における農機や栽培している野菜果物の状態を知るための様々なセンサー、自動販売機、建物そのもの、等ありとあらゆるものが対象になります。
IoTの3つのステップとは?
元々パソコンやスマホでインターネット接続をすると何ができると言ったら、様々な情報をWebサイトから得ることが出来たり、アプリケーションソフトウエアをダウンロード出来たり、さらにはメールのやり取りが出来たり、最近ではSNSで様々な人と交流が出来るといった使い道があり、今ではほとんどの人にとって、スマホやパソコンは無くてはならないものになりました。
一方モノがインターネットにつながると何が便利になるか?というとパソコンやスマホより少し複雑になります。
まずは、様々なモノの中の情報、多くはセンサーという素子(デバイス)によってモノの温度とか振動とか電流とか、写真とかさまざまな情報がインターネットに送られるというのが第1ステップです。
インターネットにそういう情報が送られたら、インターネットに設置してあるクラウド上のサーバーによって、送られてきた情報を解読したり、整理したりすることによって、それをWebサーバに引き渡して、パソコンやスマホでグラフを見たり、加工された情報を見たりすることが出来るというのが第2ステップです。これを一般に”見える化”とか”モニタリング”と言ってます。
また逆方向で、クラウド上のサーバーを介して、インターネットにつながれた様々なモノをコントロール出来ます。これをプッシュサービスということが多いです。これを第二ステップとしましょう。
第1ステップ、第2ステップはまだIoTの最終の形とはいえません。
最終のかたちは、クラウドのサーバー側で解読した情報に基づいて元々データを送ってきたモノに対して、何らかの制御をする。英語の言葉で恐縮ですが、”フィードバックする”というのが重要になります。これが第3ステップです。
もちろん色々なデータを集めてグラフ化する、見える化するというのもフィードバックと言えますが、それよりもモノを制御することが出来ると非常に便利な世界が出来上がります。
一番分かりやすい例としては、最近IoT以上によく耳にする自動運転です。自動運転は、自動車が人の代わりに自動で運転するわけですが、その場合は、道路の状態、車の込み具合、天候、人などが来ていないか等、今までは人である運転手が瞬間瞬間ずっと気を使って判断することによって運転していたのを全て機械が自動的に行う必要があります。
その場合、車の中の機械だけでなく、車の様々な場所から得た情報を全てクラウドに
上げてクラウドのほうで、これまたこの数年バズワードになっているAIを使って
何らかの演算をして、それを車にフィードバックする・・・例えば速度を落とすとか
車線を変更するとかをクラウドから制御してあげる。というのがフィードバックになります。
また全般的に見て、IoTにおいては人がそれほど介在しないというのがキーポイントになります。もちろんモニタリング、見える化は人が画面を眺めるし、プッシュ通信は人が操作をするわけですが、IoTの最終形であるフィードバック制御は、人が全く介さないということも実現できます。
IoTでも大事なのは”ヒト”
ただし、IoTをサービス事業にする際は、人がかかわる部分が多いことは忘れてはならないと思います。
自動運転はほんの一例であり、今後IoTによってさまざまな家電製品、工業製品、インフラそのもの、農業の現場、工作機械などがより効率的に便利になる時代になろうとしています。
IoTの主な構成要素
IoTといってもいくつかの構成要素に分けられます。ここでは以下のように整理してみたいと思います。
1)モノ
このモノ自体今まで書いてきたように様々なモノがあります。そしてそのモノには必ず何らかのセンサや測定機のようなものがついており、かつモノの中には、インターネットと直接通信する、もしくはインターネットにつなぐための途中の通信装置と通信するための通信機能が搭載されています。
2)クラウドの中の分析サーバー
モノからインターネットに送られてきた様々な情報を解読したり、整理したり、演算したりして、何らかの役に立つ情報にしたり、フィードバックのための情報にしたりするのが、クラウドの中の分析サーバーになります。
3)クラウドの中のフィードバックサーバー、Webサーバー
分析サーバーでの情報を基に、モノを制御したりするフィードバックサーバーや、モノそのもの状態をモニタリング、見える化のためWebサーバーが必要になります。
4)モニタリングを見るためのパソコンやスマートフォン
モノによっては、パソコン、スマートフォンでなく、モノ自体に液晶画面などがあり、
そこでモニタリング出来るという場合もあります。
IoTが使われる主な分野
今までも少し触れましたが、ここではIoTが使われる主な分野について紹介したいと思います。
1)家電品や日用品、雑貨などのIoT
これが一番沢山の人が便利と感じる分野でしょう。日常生活で使用するモノがIoT化することでモノの付加価値が上がったり、モノの様々な状態が見える化する世界が生まれています。
2)自動運転含め交通関係のIoT
既にふれたように自動運転が代表的だと思いますが、車及び車の周りの様々な情報をクラウドに上げることによって、自動運転の精度が上がったり、自動運転でなくても、人をアシストすることによって交通事故などを減らすということも出来ます。
3)工場のIoT
IoTといえば、現状これが一番恩恵にあずかっているかもしれませんね。工場での製造装置、検査装置などをIoT化することによって工場全体の生産効率の向上、品質の向上につなげることが出来ます。
4)農業のIoT
日本は農業生産者人口が減っている、それに対応して、日本の食物自給率が低くなっているのは忌々しき問題です。人の代わりにIoTやロボット技術に置いて農業生産効率の向上が図れるのは日本の農業を救うことになります。
5)医療のIoT
今後の高齢化社会に置いて、ますます医療が重要になります。と言いながら、人口減少により、医者の数も看護師、介護士の数が減る方向になることは間違いありません。医者、看護師、介護士の減少を補うのがIoT、ロボット技術だと思います。
6)流通、商業、金融のIoT
流通、商業、金融においても様々なモノにセンサーをつけることによって、効率を向上したり、ヒトの介在を少なくするという効果が期待されます。
まとめ
今回はIoTとは何かについて出来るだけ簡単に記したつもりです。
IoTは、様々な分野で使用されるようになり、かつIoTを実現するためのモノもデバイス、通信、クラウド、スマートフォンなど多岐にわたっているので、これからの産業発展においては、IoTは欠かせないと考えます。
また別の投稿で、IoTの技術や、IoTを応用したサービス事業について触れたいと思います。